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ニューロイダルネットに関する研究


西野研における一つの柱にニューロイダルネットに関する研究があります。 ニューロイダルネットはハーバード大学の L.G.Valiant が提唱した 脳の数学的モデルで、プログラム可能な(学習可能な)しきい値回路です。 このモデルの上での言語認識、言語獲得、戦略の学習、概念学習、 推論、記憶などなどに関する研究が対象となります。 西野研における研究のながれは過去の学生のテーマや発表論文などからも わかるように、 オートマトンからの変換などのしきい値回路の計算能力に対する検証、 言語認識、学習アルゴリズムと初期回路の検討、 ニューロイダルネットシミュレータの作成などに始まり、 多岐にわたる脳の機能のモデル化(記憶、言語獲得、推論 etc.)、 シミュレータ作成に関する研究、 ニューロイダルネット(しきい値回路)に関する計算量などに 及んでいます。

(文: 平尾孝史 June.'98)
特に西野研で中心的に取り扱っているものに、 下に記した言語に関する研究があります。


言語に関する研究

(1) しきい値回路による言語認識の研究:

人間の脳の仕組み(アーキテクチャ)の解明が、21 世紀の科学の大きな 柱になるという予測がある。脳の仕組みは人が誰しも知りたいことであ り、その解明は科学の究極の目標のひとつである。当研究室では、人間 の脳のモデルとして、しきい値論理素子が多数結合されたネットワーク (回路)を採用し、上記の問題に対する理論計算機科学からのアプロー チについて研究を行なっている。

具体的には、文脈自由文法などの文法で生成される言語をしきい値回路 で認識する際に、最低限必要となる回路のサイズや深さを評価する研究 を行なっている(言語を認識するしきい値回路の深さは、その認識に必 要な時間に対応することが知られている)。我々人間は実時間で言語を 理解している。このような研究を発展させ、将来的には、効率の良い言 語認識モデルを構築したいと考えている。

(2) しきい値回路上における言語の学習の研究:

このテーマは、上のテーマと密接に関係している。Chomsky の普遍文法 の理論によれば、人間は遺伝子情報として普遍文法の枠組みを持って生 まれてくるのであり、母国語の獲得は、その普遍文法に含まれるいくつ かのパラメータを設定することに他ならない。

(1) で述べたテーマの研究を進め、人間の言語認識モデルであるしきい 値回路の構造を確定しながら、そのモデル上での学習に関する研究も進 めている。その際、そのしきい値回路がまったく無知の状態から学習を 始めるのか、普遍文法にあたるものを組み込んでから学習を始めるのか、 あるいはまた、まったく異なった前提知識を組み込んでから学習を始め るのかといった問題を詳細に検討している。これらの前提知識に関する 仮定の是非は、実際の人間の言語獲得現象と照らし合わせて判断して行 きたいと考えている。


* 以上の内容について詳しいことをお知りになりたい方は、

「知能の複雑さ」, bit(共立出版), 1995 年 7 月号.

等の解説記事を参照されたい。

'97/4/22


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